52年前、1958年のブラジル日本移民50周年の折にアンドウ・ゼンパチさん(1900―1983、本名=安藤潔、広島)が発表した『二世とニッポン 語問題~コロニアの良識にうったえる』という小冊子は、いま読んでも「その通り」と納得する部分が多く、再読に値する文書だ。アンドウ氏は東京外語大ポ語 学科の一回生で、1924年の昭和天皇ご成婚記念事業「大毎移民団」の移民監督として渡伯し、戦前の日伯新聞編集長などを経て、戦後はサンパウロ人文研の 主任研究員として調査活動をし、1967年2月に帰国した。『ブラジル史』(岩波書店、1983年)などの著作もある知識人だ。もちろん、ここで問題にさ れている外国語教育令などの法令も現在とは状況が違う点もあるが、二世や日本語教育に関する考え方全般には高い先見性が感じられ、いまも学ぶべき点が多い ようだ。安藤家とサンパウロ人文科学研究所の許可のもとに掲載し、百周年後のコロニアの将来を考えるための資料としたい。なお、表記のみ一部現代式に変え たが、それ以外は原文のまま。(編集部)