今年6月、日本の国会で元シベリア抑留者に一時金を支給する特別措置法が成立した。第2次大戦後にシベリアへ抑留され、強制労働に従事した人で、法律施行日時点での生存者を対象に、抑留期間に応じて一人25~150万円を一時金として支給するものだ。敗戦から65年。遅すぎた法律の該当者は、ここブラジルにもいる。極寒の地での過酷な体験を胸に帰国し、再び新転地へ渡った人たちがいる。その一人、松本實隆さん(86、沖縄県)は現在、聖市サンマテウス区に暮らす。沖縄からシベリア、そして南米へ―。時代の変転の中を生き抜いてきたその人生を振り返ってもらった。(松田正生記者)