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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=43

21/09/2024

 そんなことをした人間は、今まで一人もいなかった。何かに憑かれたような働き振りだったが、初めは、無謀で無益な行為のように見えた。
 樹は生きていた。
 毎日毎日、運平に見られていると、樹はそれぞれのことを彼にうったえるようになった。彼は広大なコーヒー園の一本一本を知り尽した。正確な判断を即座にくだせるようになった。いつの間にか、ブラジル人たちも彼を「セニョール」と呼ぶようになった。朝は誰よりも早く起き寝るまで仕事をした。そうやって二年が過ぎた。

 … … ひどく長い二年だった。人々の生活はだんだん楽になっていた。しかし、儲けて日本へ帰るにはまだ程遠い。コーヒー...

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