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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=2

27/05/2023

 田倉の横にいた長女の律子は、やや興奮した声を出した。彼女は十八歳になっていた。農業移民として渡航するには、一家族に十八歳以上の働き手が最低三名必要なので、律子が十八歳になったのを機に一家は移住を決めたのである。本人は、天賦の体躯に恵まれ、スポーツに長けていたこともあり、未知の大陸で活躍することに何ら不安はなかった。神経質な継母のはぎからは敬遠されるふしもあったが、律子は頓着せず、人並み以上の自信に満ちていた。
「知ったようなことを言うな」
 田倉は律子の頭をなでながら、
「まだ子供やな」と笑った。
「飛行艇って勇ましくてカッコいいわ。男に生まれていたら航空...

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