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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=5

02/06/2023

 男たちはブラジルで通常使用する労働にも便利だというカーキ色の服をまとっていたが、仕立ての悪さか、体に馴染まぬのか、色一様の囚人の如しでこれも冴えない。しかし、そんなことにとやかく言えるほど彼らは余裕を持っていなかった。
 午後の日がコンクリートに照り返す埠頭で、汗を流している移民たちを迎えた世話役の明穂梅吉は、いつもの癖で一人一人を指名することなく、
「どうぞ、どうぞ」
 と口先ばかりの愛想を振りまいて税関へ一同を誘導する。税関は倉庫のように広く、一定の間隔をおいて、幾通りにも四〇センチの高さに木材の台が並んでいた。船から降ろされた移民の荷物は、この台周辺に...

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