小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=12
やがて、一軒の灯火もない家の前に馬車は停まった。田倉の家族は馬車から降りたものの、さて、これからどうして一夜を過すのか、荒野に投げ出された難民の心境だった。戸惑っているところへ、闇から人の足音が近づいてきた。手にカンテラを持ったその男性は、
「空家は蚤がいっぱいなので、殺虫剤を撒いておきました。今からでは何もできませんから、今夜はわしらの家に泊まりなされ」と、日本語で言ってくれた。地獄に仏といった感激だった。
そこから二〇メートルほど東側に、その人の家はあった。家に入ると直ぐに、
「すみませんが、お粥を作って頂けませんか」
と、不躾に田倉は頼んだ。見栄...
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