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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=26

08/07/2023

 ジョン・デ・バーロ(アカカマド鳥)が鳴いていた。見上げると庭先の木にパン焼き窯を小さくした形の巣があった。二羽の小鳥はその巣を繕っている。忙しそうに泥で固めていた。
 終日の労働に追われて、律子たちは自然の変貌に気を配る余裕もない日々ではあったが、山の樹々はすでに緑の芽を育んでいる。乾期も終りを告げていたのだ。
「空が灰色で太陽が赤い。こんな蒸し暑い日が続いて、ジョン・デ・バーロが鳴くと雨がくるよ」
 と、ベネジッタは言った。
「ほんとう?」
「ケール・アポスター?(賭けようか)」
「やめとく。ベネジッタの勘にはかなわんから」
 コーヒー樹の枝にも小...

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