小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=28
売店の壁は板張りで、二五米もあろうか。入口が四個所ついている。五区画ある分耕地から買出しにくる人びとはおびただしい数で、早朝から店はごった返していた。店内は人いきれと、腸詰、乾し肉、生肉などの臭気が充満し、店先につながれた牛馬の垂れ流す屎尿なども加え、その悪臭に吐き気を催しそうになる。
粗野な男たちの中に混じり、律子と弟の浩二は板で仕切った売り台に伸び上がるようにして、混血の無愛想な売り子に、自分の所在地と姓名を告げる。そこには一週間分の仕事の控えがあ って、仕事相応の買物ができることになっていた。その日のツケでは、米、砂糖、食用油など、一週間分の食糧は何とか...
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