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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=30

18/07/2023

 律子は溜息をついた。こういう時、要領のいい農夫は仮病を使うのだそうだ。新来の移民はそうも行かない。再び家を出て、職場へ向かうのだった。監督の命じたのは枯れたコーヒー株の横に新しく種を蒔く仕事だった。二〇×四〇センチ、深さ十センチぐらいの穴を掘り、それにコーヒーの実を五、六粒落とす。その周囲は水が溜まらぬように土を盛り上げ、上部に木片で蓋をする。小さな温室みたいに手間のかかる仕事である。
 そこへ、息を弾ませながら、隆夫が駆けつけてきた。
「あのう、親父が、親父が……」
 と、言葉にならない。
「どうしなはったの」
 田倉は訊いた。
「親父が監督と口喧嘩...

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