小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=42
「この辺はまだ開墾されてないのね」
こんもりと空を包んでいる樹木を見上げながら、誰に言うともなく律子は声を出した。
「夜明けの森林って美しいな」
と、横から浩二が言った。
「低地はコーヒー園に適さないので、誰も開墾しないんだ。雑作地か牧場として利用するんだよ」
言いながら、太郎は再び馬にけしかけた。馬車は動き出した。
森林を抜けると、またコーヒー園が開けていて、そこはもう添島植民地である。責任者磯田の家は広いコーヒーの乾燥場の並びにあった。
馬車の音を聞き、角刈り頭の磯田が応対した。大柄ではないが、がっちりした体格の持ち主だ。盛んに吠える二匹...
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