連載小説=自分史「たんぽぽ」=黒木 慧=第50話
永雨は漸く遠ざかり、鈴なりのコーヒーの実が赤から黒に乾きはじめていた。この地方のコーヒーは近年まれな豊作だった。コーヒー樹の間に蒔いた稲の穂も黄ばんでいたし、豆の収穫もはじまっている。数年の労苦が報われて入植者の顔も明るい。
夕焼け雲を背にして、コーヒー園を出てくる律子を和美が待っていた。いつものことで終日頬を保護していたスカーフで顔の汗を拭き、それをまた首に巻いて涼しい顔をしている。作業の疲れを感じさせない若さがみなぎっていた。二人は肩を並べて帰途についた。今年の豊作を喜び、収穫がおわったら一度町に出て白粉とか口紅を買いたい。父親まかせでは自分好みの肌に合う...
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