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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=94

06/12/2024

彼は目を開いた。畑中がポツンと座っていた。
「どうですか?」
「気持が良い」
低い声で運平は答えた。
「マラリヤもいいもんだなぁ。後が風呂に入ったようにサッパリする……ピンガをとってくれ」
「薬を飲んでください」畑中が言った。
「ピンガがいい」
「平野さん、あなたは死ぬつもりなんですね」
「……」
「分っています。死ぬつもりなんだ」畑中は泣きそうな声をだした。
「……」
「でも、あなたが死んだら、ここはどうなるんです。あなたが居るからこそ、皆がんばるんだ。平野さんが死んだら明日にでも、此処には誰もいなくなってしまう。すぐ...

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