ブラジル マンダカルー物語=黒木千阿子=(25)
ちいちゃんは、待ち切れなくなると、にい~と笑ってずらりと並んだ大きな歯を見せたり、子どもたちを鼻づらで押したりして、早く帰れという仕草をして、授業のじゃまをしていました。
やっと子どもたちがいなくなったあと、ちいちゃんと過ごすひとときは、私にとって一番幸せな時でした。
お母さんロバが畑仕事に出ている時は、子供のちいちゃんは朝からやってきて、入口の扉をドスーン、ドスーンと蹴って私を呼んでいました。
扉が壊れないよう、すっ飛んで行って開けてやりますと、ちいちゃんは当然のような顔をしてパカパカと家の中に入り、冷蔵庫の前でいななくのでした。
猫のとんとんちゃんは、あきれ果...
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