南米ボリビアで新たに登場したビール「コカ・ビアー(Coca Beer)」が、世界の愛好家から注目を集めている。これは首都ラパス近郊のエル・ビエホ・ロブレ蒸留所が製造する、コカの葉をベースにしたアルコール飲料だ。現在、販売はボリビアとペルーのみに限られているが、ボリビア政府は輸出の合法化を目指した取り組みを進めていると6月14日付オ・グローボ紙など(1)(2)が報じた。
同蒸留所では、すでにコカの葉をベースにした他のアルコール飲料を製造している。経営者のアドリアン・アルバレス氏は「コカの甘みを加えることでビールの苦みを和らげ、より飲みやすくし、さらに風味を高める」と説明する。価格設定は2米ドル程度だという。
この製品の斬新さから、既に様々な国からの関心を集めているが、販売はボリビアと隣国ペルーの手工芸市に限定されている。両国では、コカイン製造目的でなければコカの葉は合法とされている。しかし、国連条約ではコカの葉自体を麻薬として分類しており、そのため世界の多くの国々でその葉の合法化が認められていない。
2022年の国連統計によると、ボリビアはコカの葉とコカインの世界第3位の生産国で、約2万9千ヘクタールのコカ農園があり、そのうち2万2千ヘクタールは合法的に運営されている。
同国では7万人がコカ栽培で生計を立てており、年間約2億7900万ドルの収入を生み出している。葉をガムのように噛んだり、宗教儀式に使用したりするために、合法的な販売が許可されている。高山病対策としての薬用効果が期待されている。
輸出合法化に加えて、コカの葉を原料としたリキュール、歯磨き粉、石鹸などの製品に焦点を当てたグローバル市場を作り出そうと、ボリビア政府は努力を続けている。
昨年、世界保健機関(WHO)はコカの葉の薬効と栄養学的性質についての科学的な分析を開始することを発表した。同研究はコカ製品の市場進出に先駆けて重要な役割を果たすものと期待されている。
ボリビアやコロンビアの代表者とWHOは、10月にジュネーブで開催される研究委員会の会合に向けて、研究成果を提出する準備を進めている。その内容いかんで、国際市場でのコカ製品に含まれるコカインアルカロイドの最大許容量など重要な規制が決定される見通しだ。
このニュースは、コカの生産者たちにとって希望の光であり、研究の進展を熱心に待ち望んでいる。彼らにとってコカの葉の国際的な合法化は、より安定した経済的安全保障を意味する可能性がある。