JBS=バチスタ氏がトランプ特使に?=退陣要求にマドゥロ訪問
【既報関連】米国とベネズエラ間の緊張が高まる中、ブラジル食肉加工大手JBSの共同オーナー、ジョエスレイ・バチスタ氏が、ベネズエラの首都カラカスでニコラス・マドゥロ大統領に辞任を求めるための会談を行ったことを、米国報道機関が3日に明らかにした。この動きはトランプ政権のマドゥロ政権への圧力を強化する一環であり、米政府の関与の可能性も指摘されていると4日付G1など(1)(2)(3)が報じた。
報道によると、バティスタ氏とマドゥロ氏の会談は11月23日に実施された。トランプ氏とマドゥロ氏が電話会談を行った2日後のことだ。
米政府がマドゥロ氏に対して辞任を求める圧力を強める背景には、昨年7月のベネズエラ大統領選挙でのマドゥロ当選を認めていないことがある。米政府をはじめとする西側諸国は、その選挙を不正とみなしており、独立監視団体は実際には野党が勝利したと指摘する。
ロイター通信によれば、米政府はマドゥロ氏に11月28日までに辞任するよう圧力をかけたが、その要求に応じなかった。
ブルームバーグ通信は、バチスタ氏の訪問が単なるビジネスマンとしての活動ではなく、トランプ政権のメッセージを強化する一環であった可能性が高いと報じた。だが、バチスタ氏本人はこの訪問をあくまで「自主的な取り組み」とし、バチスタ一家の持株会社「J&F SA」も、同氏は「いかなる政府の代表でもない」と強調。バチスタ氏のカラカス訪問にトランプ政権が関与していた可能性も指摘されているが、米政府はコメントを控えている。
JBSは世界最大規模の食肉加工企業であり、その事業規模とバチスタ氏の影響力は国際的に広がっている。特に、米国におけるJBSのプレゼンスは非常に大きく、同社はトランプ氏の大統領就任式に500万ドルを寄付したこともあり、政治的なネットワークも深い。
バチスタ氏の影響力は、長年にわたるベネズエラとの経済的なつながりにも支えられている。JBSは過去にベネズエラ政府と約21億ドル規模の肉類供給契約を結んでおり、これにより、バチスタ氏はベネズエラ政府との強固な関係を築いてきた。食料不足と深刻な経済危機に直面するベネズエラにとって、JBSとの契約は重要な役割を果たし、バチスタ氏はこの関係を踏まえ、政治的な仲介役になったと見られている。
米国は8月以降、カリブ海のベネズエラ沿岸近くで大規模な軍事行動を展開し、麻薬密輸に関する捜査を強化。米政府によれば、20隻以上の疑わしい船舶が攻撃され、80人以上の死者が出ている。この軍事行動について、米政府は国際的な麻薬密輸の取り締まりとして説明するが、一部の米国当局者は、その背後にマドゥロ政権転覆を目指す目的があるとの見方を示す。
一方、マドゥロ氏は1日、支持者に対して「ベネズエラ国民への絶対的忠誠」を誓う一方、トランプ大統領との再度の電話会談を望んでいると伝えられている。
現在、米政府内部では、マドゥロ氏への新たな圧力手段を模索している段階にあるとされる。トランプ氏は1日、政府関係者と会議を開き、ベネズエラへの圧力強化について話し合ったと報じられている。だが、米当局者の一部は、マドゥロ氏の退陣を促すための最終的な合意に向けた調整には依然として相違点が残っているとも述べており、今後の展開は不透明なままだ。








