ミレイ大統領=就任100日で支持率50%超も=軍政被害者数千人発言で波紋

24日付オ・グローボ(1)によると、就任から100日が経過したアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は、厳しい支出削減策を実施しているにもかかわらず、国民からの支持率が50%を超えている。同氏主導の財政政策は、12年ぶりとなる2カ月連続の財政黒字達成など、一定の成果を上げている。
一方、同国が陥った不況(景気後退)は中間層を加速度的に貧困化させているという。政治・経済のアナリストらは、現在の大きな疑問は、国民が大統領の手腕に疑問を挟まずに政府が行っている厳しい調整策をいつまで受け入れられるか、また、どの時点で大統領への支持を止めるかで、同国は今後も困難な時期が続くと指摘する。
最近の世論調査によれば、ミレイ大統領は社会的支持を維持しており、今、選挙が行われた場合、51・5%の得票率で当選するとのデータが出ている。コルドバやメンドーサといった州では、ミレイ氏への支持率は60%を超えている。
同国政府は財政黒字に加え、昨年12月は25%に達していたインフレ率を下げることに成功している。2月のインフレ率は13・2%だった。また、2023年末の外貨準備高は100億米ドルの赤字だったが、現在の赤字額は25億米ドルまで縮小している。これらの措置は市場にとって良い兆候であるが、専門家からはこれらの政策が持続可能かどうかについて疑問の声が上がっている。
また、補助金の急激な打ち切りなどにより、中間層は厳しい状況に直面しており、特に食料品価格のインフレによる圧力が高まっている。国内市場で価格上昇を抑制することの難しさが、ミレイ大統領とルイス・カプート経済相の間で初めての激しい議論を引き起こしたともされている。ミレイ氏は1月末に全面ストライキに直面し、抗議活動が増えている。
一方、23日付オ・グローボ(2)によると、ミレイ大統領は1976年の軍事クーデター記念日の24日にビデオを公開し、クーデター後の7年間は〝戦争(内戦)〟の時代であり、独裁政権ではなかったと主張した。また、独裁政権下で3万人の行方不明者が出たことを否定して数千人規模だったと述べ、従来の軍政のみを悪役とする歴史観に疑問を呈して、議論を巻き起こしている。
これは1976年3月24日、左翼ゲリラの活発化による政治的混乱を抑えるために軍部が政府を転覆し、軍事独裁政権を樹立したという考え方だ。ミレイ氏は選挙期間中も同じ立場を主張していた。当時の〝戦争〟は軍事政権とゲリラグループとの間のものだと主張している。
このビデオには、ペロン主義者過激派ゲリラ「モントネロス」元メンバーや、クーデター前に左派ゲリラ活動によって犠牲になった軍人家族などの被害者が出演した。これに対し反対派は、政府が独裁政権の犠牲者の苦しみを無視し、その行動を正当化しようとしていると批判した。