《記者コラム》航空機の墜落事故に思う=御巣鷹山とは3日違い

9日に聖州内陸部ヴィニェードで起きた航空機墜落事故は62人の命を奪い、多くの人に衝撃を与えた。遺体が全て回収されたことで、11日からは残骸回収も始まったが、同日は、事故機は3月に油圧系のトラブルや機体損傷などの問題が起き、4カ月間、運航不能だったという記事も出た。
そんな中、長野県御巣鷹山で起きた日航ジャンボ機の墜落事故から丸39年との報道が流れた。御巣鷹山の事故発生は12日だが、時差があるため、11日の報道となった。
日航機の事故が起きた時はちょうど、長野県内のキャンプ場にいた。屋外にいた人が大きな音が聞こえたと言い、その後の報道で事態の大きさを知ったことを思い出し、3日違いかと思わず呟いた。
日航機の場合は、7年前に起きた事故で破損した箇所の修理がマニュアル通りに行われておらず、機体後部の圧力隔壁が壊れ、大量の空気が高速で流出し、油圧制御装置や補助エンジンを破壊したりして山腹激突という惨事になった。
ヴィニェードでの事故の原因はまだ調査中だが、現場付近を飛んだ機の乗客が翼に付着した氷の映像をネットに掲載したりしており、氷付着が原因の一つである可能性がある。だが、ヴォエパス社は事故後の会見で操縦士達は経験豊富で氷を解かす装置は機能していたと説明した。また、機体整備は万全で、事前の検査でも問題がなかったから予定通り飛んだというが、同社の航空機や機内サービスには不満や苦情が山積という記事もある。
その一つは、8日に事故機に乗った男性によるもので、エアコンが機能しておらず、呼吸もままならなかったというものだ。他の乗客の苦情を見ても同種のトラブルは度々起きていたことがわかる。エアコンの不調は油圧系のトラブルが完全に解決してなかった証拠で、会社側の説明と矛盾する。
同社従業員がパンデミック後は安全より利益を重視していたと語ったという話の中には、氷を解かす機械を動かすのに爪楊枝を使う必要があったというものもあった。原因調査を行う航空機事故調査予防センター(Cenipa)が修理記録なども集めるというから、徹底調査と事故防止のための基準作成をと願わされる。

Cenipaの調査報告書は30日以内に出るようだが、高度が落ちた後、急上昇し、錐もみ状に墜落したという機体の挙動は、2009年6月に起きたリオからフランスに向かうエールフランス機墜落事故と重なる。エールフランス機事故の調査結果には、高度測定用センサーが凍って機能しなくなり、高度が下がったことに慌てた機長が機首を上げたため、揚力を失い、失速・墜落したという分析がある。
翼に付着した氷に気がつかなかったのか、気づいたが氷を解かす機械が動かなかったのか、機器類の不調が操縦士の判断を狂わせたのか。憶測は何も解決しないが、遺族達に「犯罪」と言わせるような会社に営業許可を与えていた監督庁の責任なども問われるべきと言ったら言い過ぎか? 亡くなった搭乗者や遺族、友人や関係者、全ての人達に深い慰めと生活を支える術をと祈るばかりだ。(み)