小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=4
結局ブラジル移住と決め、妻の身が二つになるのを待って一家六人、四十五日の航海に乗り出したのである。ところが、移住先のブラジルの第一歩はこうした革命騒ぎである。大海原に彷徨う漂流者のような心境となり、周囲の風景に見惚れるどころか、あまり利口な移住ではなかったのか、とさえ思えてきた。
移民船《らぷらた丸》は夕刻まで、港湾管理局宛てに打電をつづけたが、結局、先方からは無回答であった。夜になって船はサントス港に向かうため錨を揚げた。サン・セバスチョン沖を航行中、一隻のモーターボートに追跡され、停船を命ぜられた。縄梯子がなげられ、士官らしい黒服の二人が甲板に上がってきた...
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