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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=7

06/06/2023

 車内での昼食はパンにハムを挟んだものが配られた。パンは長く巨大で、ハムは外まではみ出しているため頬ばりにくい。ちぎって口に運ぶのだが、まるで鯉の餌の麩みたいで味がない。ハムは生肉を塩で固めた代物だし、日本でそういうものを食べてない移民たちは、その異物を持て余し溜息をもらした。妙な物を手にした猿のように小首をかしげたり、列車の窓から投げ捨てる始末だった。
 実は、昨夜のホテルでの夕食もほとんどの移民が食べ残していた。黄色く太いうどんにトマト汁、それに粉末チーズを振りかけて食べるマカロニは、脂の臭いが強くて食欲が湧かなかった。
 ことに、永い船酔いと育児に疲労衰弱...

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