小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=106
この男は兄弟の中で学校の成績が一番良く、大学を出て近くの中学校で教鞭をとるかたわら絵を描いていた。彼は子供の頃から、県内で催される児童画展などによく入選、入賞もしていた。一年下級であった矢野も彼の絵をよく真似たものだが、尋常四年で中退、ブラジルへ渡ったのでそれ以上の進展はなかった。田島はずっと絵を続けていて、現在は県内の《新世紀美術展》の審査員も務め、日展にも再三入選している。特選をとれぬのを嘆いているが、矢野から見れば恵まれた環境にあった。
田島の長顔に比して丸顔な夫人も、同じく教育者である。半日は家を留守にするが、二人の息子もはや中学生で手がかからぬという...
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