連載小説=自分史「たんぽぽ」=黒木 慧=第80話
一九八八年
大体この頃になるとブラジルの経済も政治もすごいインフレで、コントロールを失っていた。私の花作りは一応順調に仕事を拡大中で、少しの不安はあったにせよ気分的にはある程度の余裕が生まれていた。
専門の左官のエストリンゲ(アルナルド・ロドリゲス)を雇って、一ヶ年働いてもらい、花作りの基礎工事などさせた。花の販売は私も、ジョーナスと一緒にサンパウロのセアザに行った。客の応対はほとんジョーナスがやってくれるようになり、私は大いに助かった。
自分のカミニョンを使っての花販売であったが、正直者のジョーナスは売り上げを盗むことなど、あまり心配する必要はなかった...
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