サンパウロ市地下鉄=キロンボ遺跡で工事停滞=Iphanが発掘再開拒否

国立歴史美術遺産院(Iphan)は、キロンボ遺跡が出てきたサンパウロ市ビシガ地区の地下鉄6番線建築現場の発掘再開の要請を拒否するよう勧告した。昨年7月に遺跡が発見されて以来、工事が中止されていた。キロンボは解放後の黒人奴隷たちが住み着き、文化なども残している集住集落だ。かねてから工事の遅れが問題となっていた同線だが、さらなる懸念が生じている。13日付フォーリャ紙(1)などが報じている。
Iphanが工事差し止めを求めているのは、市中央部ビシガに建設予定の「14(クアトルゼ)ビズ駅」だ。同駅の建設は2月7日に大雨で差し止められたが、トンネルを掘る工事の最中に1900年頃の写真も残っている、サラクラと呼ばれるキロンボの遺跡が見つかったことで、工事の再開を差し止めるよう求めている。
この遺跡は280平米で、300もの遺品が見つかっている。この遺品に関しては現在、ラスカという企業が調査中だが、3月30日にカルデアル・レメ街の近くで、遺品が集中的に見つかったことが報告されていた。
考古学者のグラディス・マリー・サントス・サレス氏は、アフリカ文化の貴重な資料となりうるものであるとの現状報告書に署名し、9日に提出。Iphanがそれに従う形となっている。
また、14ビズ駅に対しては、サンパウロ市の名門エスコーラ・デ・サンバのヴァイ・ヴァイも強い反対運動を行っている。建設予定地には元々、同エスコーラの本部があり、丸ごと接収されてしまったため、活動場所の確保に困っている。
サンパウロ市地下鉄6号線は北部ブラジランジアから中央部のサンジョアキンまでをつなぐ予定の路線で、地下鉄1、4号線、CPTM7、8号線と連結することでも注目されている。同線の建設そのものは2008年着工で、当初の完成予定は2012年だった。
だが、資金の問題に延期を重ねた挙句、2016年からは4年間にわたり工事が中断。2020年にスペインのアショナ社との官民共同での新体制での工事再開となったが、2022年2月には、地下を掘削していたマルジナル・チエテで巨大な陥没が起こるトラブルも起きていた。現時点での完成予定は2025年となっている。