小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=69
69
近所のものに経緯を知らせに行き、遅れた山路は馬で駈けつけてきて、狼藉者の前をふさいだ。先頭を歩いていたダミオンは、手にしていた酒瓶を山路の馬の鼻面にたたきつけた。驚いた馬は前脚高く跳ね上ったが、山路は落ち着いて手綱を引きしめ、スポーツマンらしい機敏な動作でダミオンの顔面に鞭打ちを見舞った。相手は悲鳴をあげ両手で頬をおおった。すかさず、浩二が男の胸ぐらを鷲掴みにして、素早い足技を仕かけた。酔っていた相手はたわいなく地面に横転した。男は立ち上がらなかった。もう一人の仲間が、絶望的に浩二へ襲いかかった。再び山路の鞭が宙空を舞って、黒人の背中深く食い込んだ。
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