世界銀行=生産性向上や教育改革提言=20年後の未来展望を報告

世界銀行が、ブラジルは今後数十年間に及ぶ発展を可能とするような改革の機会に恵まれているが、達成には生産性や包括性、持続可能性の好循環に入る必要があるという報告書をだしたと26日付エスタード紙(1)が報じた。
2042年に焦点を当てた「未来のブラジル」という研究は、低成長や不平等、環境悪化といった現状を変え、長期的な発展を遂げるための措置を講じることだ。
同行のマクロ経済・貿易・投資のグローバル実務におけるブラジル担当シニアエコノミストのコルネリアス・フライシュハーカー氏は、20年後のブラジルは今後数年間に行う選択に依存しているとし、排除や蓄積、天然資源の破壊による成長という遺産を乗り越えるよう勧めている。
同氏は、ブラジルは経済の生産性と社会的平等、環境の持続可能性を組み合わせた好循環に入る必要があると強調。天然資源破壊による成長からの政策変更が必要とも説いている。
また、今後起きる高齢化や気候変動といった国の「顔」を変え得るメガトレンドに対応するため、環境的に持続可能性のある成長達成のための民間部門の生産性向上、資格や雇用のギャップを埋めるための教育システムの格差是正、社会保護制度の関連性と持続可能性の強化、財政政策上の制約の再構築、インフラサービスへのアクセスの改善、公平かつ効率的な税制構築の6項目を挙げている。
改革が必要な課題の一つは生産性の向上で、教育と職能訓練による人材育成とインフラ部門への投資が不可欠だ。もう一つの障害は税制の非効率性で、ブラジルの税制の複雑さは企業による資源の生産的な配分を阻み、順守コストを高めるという。現在審議中の税制改革で間接税を付加価値税(VAT)に置き換えることは肯定的に見ている。
また、低所得層の税負担が重いとし、所得改革の必要性も強調。異なる課税基盤での所得課税の調和や配当・年金所得への免除廃止、逆進的で非効率的な税制免除撤廃などの所得税制度改革を行う必要も指摘している。
ブラジルは非常に閉鎖的で企業が使う原材料へのアクセスが困難とし、国際貿易への開放性も要請。公共部門も含めたイノベーション促進の必要性も強調した。
財政の持続可能性も大切で、財政均衡法は歳出上限法よりも柔軟でバランスが取れていると評価。適切に実施すれば公共債務を安定させ、公共投資を増やすことができるとする一方、ブラジルの支出は非常に硬直的と指摘。19年の年金改革後も公共年金プログラムは脆弱性の源で、高齢化に対応するための調整が今後も必要だという。また、医療と教育への支出増と共に、支出の効率改善の必要性も説いている。
現政権がカーボン市場の規制やエネルギー転換など、緑の議題を優先していることも評価しているが、短期的な環境分野での優先事項は森林伐採への取り組みとも述べている。