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イスラエル=ルーラを「ノン・グラータ」に=大統領は大使召還で応酬=ブラジル国内での評価は二分

2024年2月21日

ネタニヤフ首相(X)
ネタニヤフ首相(X)

 【既報関連】イスラエルによるガザ地区での人権蹂躙をナチスのホロコーストに比較した17日の発言により、イスラエル外相は19日にルーラ大統領を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)だ」に指定した。これを受け、ルーラ大統領はイスラエルのブラジル大使に帰国を命じた。19日付G1サイト(1)(3)やフォーリャ紙(2)(4)などが報じている。
 「イスラエルが行っているのは戦争でなく、ジェノサイド(大量殺戮)」「歴史上、同じことをやったのはドイツがユダヤ人を殺した時だけ」などのルーラ大統領の発言に対し、イスラエル側は強く反発。翌18日にネタニヤフ首相はルーラ氏が「越えてはならない一線を越えた」と強く批判した上、19日にはイスラエル外相が同氏を「ペルソナ・ノン・グラータ」だと宣言した。
 ペルソナ・ノン・グラータとは外交用語で、言葉そのものの意味は「好ましからざる人物」「受け入れ難い人物」となるが、1961年の「外交関係に関するウィーン条約」や1963年の「領事関係に関するウィーン条約」によれば、その国に駐在する外交官として入国できない人物や、外交使節団から離任すべき人物に使われる言葉であり、通常ならば一国の大統領に対しては使われない。
 同国のイスラエル・カッツ外相は「ルーラ大統領が謝罪を行うまではペルソナ・ノン・グラータとして扱い続ける」との声明を発表。ブラジル大使を召喚してホロコースト博物館に連れていき、地元メディアがいる前でその外交官が分からないヘブライ語で叱責し、ブラジル外務省はこれを大変失礼な行為として問題視している。
 これに対し、ブラジルのマウロ・ヴィエイラ外相がブラジル駐在のイスラエル大使を招き、同件に関して話し合いの時を持ったが、折り合いがつかなかったのか、会談後も何も語らずに別れた。また、ルーラ大統領はこれと並行して、在イスラエルのフレデリコ・メイエル大使をテルアビヴの大使館から召還した。同大使は20日の便で帰国する。
 これはまだ、イスラエルとの外交を断絶するものではないが、両国の関係を悪化させることにはつながる。
 両国の商業や貿易に関して、グローボ紙(5)は「ガザ危機が長くなる場合は影響を受ける場合がある」と分析し、ポデール360(6)は「イスラエルはブラジルの総輸出の0・2%を占め世界で54番目」とした上で、大きな経済的な影響は出ないだろうと分析している。ブラジルは同国へ石油や牛肉を輸出している。イスラエルからの輸入は農業肥料が全体の45%を占めるほど大きい。
 ルーラ氏の発言をめぐるブラジル国内の世論は二分されている。一方では、ルーラ氏の発言後、パレスチナの武装集団ハマスが賞賛の声明を出したことで、「テロリストたちに支持された」とルーラ氏を批判する声が上がっている。それは特にボルソナロ前大統領の支持者に多く、25日にサンパウロ市パウリスタ大通りで行われるボルソナロ氏が呼びかけたデモに在ブラジルのイスラエル大使を招待しようとする声も上がっている。
 その一方で、ルーラ大統領の発言後、イスラエル以外の国の政治首脳からルーラ氏に対して特に批判的な声明が行われておらず、逆に、これまでガザ停戦に否定的だった米国が国連に一時停戦を申し込む動きが出た。
 バイデン大統領は数日前からガザ停戦をほのめかしており、必ずしもルーラ大統領の発言との関連性はないが、左派の政治家やネットでは「ルーラ氏には一理あった」とする声も上がっている。
 21、22日にはリオ市でG20外相会議が行われることになっており、ガザ問題も議題の一つになる見込みだ。
 なお、パレスチナ駐在のイブラヒム・アルゼベン・ブラジル大使は、イスラエルの反応は不当で、ブラジル政府が国連正加盟国としてのパレスチナ国家の即時再建を擁護したことへの反発が背景にあるとの見方を示している。


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