リオ・グランデ・ド・スル州=州知事が非常事態を宣言=死者24人、史上最大の水害に

【既報関連】リオ・グランデ・ド・スル州では4月29日から風を伴う強い雨が続いており、1日夜、エドゥアルド・レイテ知事が州全域に非常事態を宣言し、臨時官報に掲載したと2日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。
2日付G1サイト(3)(4)によると、同州中央部のサンタマリア市では、この4日間に降った雨がこの時期の平均降水量(140ミリ)の3倍超にあたる436・2ミリに達した。この雨は州全域で降り続いている。

平年を大幅に超える雨は州内の川の急激な増水、氾濫を招いた上、降り続く雨が、サンタマリア市やその周辺、山や丘に囲まれた複数の渓谷地帯中心に、洪水で孤立した人達を助けるためのヘリコプターやボートも思うように出せないという窮状を招いた。不安定な天候は少なくとも5日まで続き、広域で強雨、降雹、落雷が起こり得る。
レイテ知事は4月29日の時点で近隣の州や連邦政府の支援を要請しており、強い雨のために同州で保有しているヘリコプターでは救助活動ができない地域には夜間も透視できる機材を積んだ空軍ヘリを送るなどして救助や捜索活動を行う一方、地滑りで生じた家屋倒壊現場などからの救出作業も進めている。
強い雨や川の氾濫で生じた濁流は人や車、家屋まで飲み込み、4月30日午後5時現在では少なくとも3人と報告された死者はその後も増加の一途で、2日午後には24人との報告が出た(2日付G1サイト(5)参照)が、行方不明者の数は21人のまま不変だ。洪水や地滑りその他の被害が出ている被災市は147、被災者は6万7800人で、1万4500人余が避難所や友人・親戚宅に身を寄せている。
また、短期間で月間の降水量さえ超える雨を見るという異常事態で、タクアリ川の水位は30メートル以上上昇。氾濫水位さえ5メートル超えている。2日付G1サイトなど(6)(7)によると、タクアリ渓谷コチポラン市では2日午後、防災目的の7月14日ダムも部分決壊した。

同州での強い風と雨は、ブラジル中央部に停滞している高気圧が引き起こした熱波にアマゾン地域から流れ込んでくる湿った風などが重なって生じたもので、州内全域で起きている川の氾濫は市街地の洪水、橋の崩壊、高速道を含む道路の陥没や損壊なども引き起こしている。
また、一部の河川は水位低下と報じられているが、大量の水を含んだ土は雨を吸わないため、雨量が直接、川の水位上昇や氾濫に繋がる。また、地滑りも起こし易くなり、土砂や倒木による道路封鎖や家屋倒壊などの被害を増大させ得る。幹線道封鎖や橋の倒壊は被災地の孤立化を深刻化させ、救助活動も困難にする。
今回の水害は、サイクロン到来で54人が死亡、4人は未だに行方不明という23年9月のタクアリ渓谷での水害を上回ることが確実で、ダムが決壊すれば水没の可能性がある地区住民への避難勧告、公立校の休校措置などが講じられている。
2日付アジェンシア・ブラジルなど(8)(9)によると、ルーラ大統領と閣僚らは2日に現地を訪れ、知事やサンタマリア市長らと会合を持ち、さらなる支援や選挙人の指紋登録の期限延長なども発表されたが、上空からの視察は悪天候のために見送られた。