ルーラ発言でドル高加速=財政赤字2933億レへ=繰り返す中銀総裁の批判

1日、ルーラ大統領の中銀批判発言後にドル高が加速し、2022年1月以来の高値を記録した。この背景には、中銀批判だけでなく、財政均衡法(アルカボウソ)不達成や財政赤字の急拡大予測が市場からの不安感の高まりがあると、1日付G1サイトなどが報じている。1日付G1サイト(1)などが報じている。
1日のサンパウロ証券取引所(B3)は大いに荒れた。ドルが一時5・68レアルまで急騰。終値も5・6527レアルと、2022年1月以来の高さとなった。今年の3月28日までは5レアルを切っていただけに、急激なドル高が続いている。ドルは2日も5・7007レアルに達した後、少し下がり、16時現在では0・37%増の5・6737レアルとなっている。
その一方で平均株価指数(Ibovespa)は0・69%増の12万4765ポイントとなったが、こちらも1年間で7・02%下がっている。2日の指数は16時現在で0・16%増の12万4921ポイントとなっている。
1日のドル高を招いた主な原因はルーラ大統領がバイア州のラジオ局「ソシエダーデ」に出演した際の発言だった。大統領はここで、このところドルが上がり続けていることに対して、「ばかげている。もちろん心配している。この国にレアルに対してゲームを仕掛けているものがいるんだ。政府としても対策を話し合っており、水曜(3日)も話し合いを行う。今、起こっていることは異常だ」と語っている。
ルーラ氏はここでも繰り返し行っている中銀への批判を展開。「中銀が独立性を持ち、正しい形で機能するよう保って行かなくてはならない。総裁が政治的圧力に屈しないようにね。権威主義者は本来は国家に属する機関を市場に乗っ取らせようとする。中銀は国家に属しており、金融システムや市場向けのサービス機関に成り下がったりしてはならない」という言葉で再び、ロベルト・カンポス・ネット総裁を揶揄している。
このドル高を受け、フェルナンド・ハダジ財相は1日、「どこの国でもドル高が起きているが、ブラジルではチリやコロンビア、メキシコよりも顕著だ」とし、「その理由は、経済関連の話題で色々と騒音が立っているからだろう。そのことに関しては(6月27日の)社会経済開発委員会でも話したばかりだ」と語った上で、「こういう時こそ、話し合いが必要だ。中央銀行の独立性や、アルカボウソの順守。人々を鎮めるにはこれしかない」と強調した(2)。
今回のドル高の背景には、ルーラ大統領の中銀批判以外にも、アルカボウソに対する市場の不安感があると見る向きも少なくない。ハダジ財相らは2025年の予算案における支出削減のための会合を3日に行うが、それが不安を高めている。財政均衡法の基軸は「2024年に基礎的財政収支の赤字をゼロに」という点にあったが、それが守れずに赤字ゼロという目標を25年に持ち越すという変更を余儀なくされたことで、市場での評価を落としていた。
2日付フォーリャ紙は、アルカボウソの崩壊により、給与や福利厚生などの義務的支出を賄うための国債発行を妨げる「予算の黄金律」の不均衡が復活することで、2025年は行政との交渉における連邦議会の力がさらに高まるとの見方を示している。8月31日が提出期限の2025年予算案では当初527億レアルの不足が見込まれていたが、大統領選がある2026年には2933億レアルに達する見込みと、同紙は報じた(3)。