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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=107

2025年1月11日

 空カンを叩いたところで、さして効果はないのだった。
 しかし、何もせずに手をこまねいて作物がみすみす喰われるのを傍観してる気にはなれない。
 バッタの新しい群は翌日も地平線に湧いて飛来した。
 三日はど経つと、開拓地は死んだように静かになった。
 もう喰われる作物が無くなったのだ。だから空カンを叩いてバッタを驚ろかす必要もなくなった。神社のお守りを畑に立てた者もいたが無効だった。今度は森の葉が喰われ始めた、パウミット・ヤシの柔らかい部分がまず喰われた。樹によっては樹皮まで喰い尽され無残な姿になった。
 一週間たった。
 多くのバッタの動作が緩慢になった...

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