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米中関税戦争で漁夫の利=米国農家打撃、代替に商機

2025年4月29日

大豆がコンテナ船に積み込まれる様子(Foto: Divulgação)
大豆がコンテナ船に積み込まれる様子(Foto: Divulgação)

 トランプ米大統領による対中関税の引き上げが米国内の農業に壊滅的な影響を及ぼし始めており、特に大豆市場において、ブラジルの地位を急速に拡大させる結果を招いている。米国の農家は関税政策の不確実性とその影響に強い懸念を示し、国内農業の衰退を指摘している。一方、ブラジルは追加関税の不在と安定した対中貿易関係に支えられ、世界市場における立場を着実に強化していると、ブラジル247(1)が報じた。
 米国で生産される大豆の半分以上は中国に輸出されていたが、現在はそのシェアをブラジルに奪われており、農業生産者達はトランプ氏による一連の関税政策が競合国に市場を開放したと批判している。アイオワ州の農家コリー・グッドヒュー氏は中国市場の重要性を強調し、「いったん市場を失えば、新しい販売先を見つけなければならないが、それは非常に難しい。現在はどこに売ればいいのか、選択肢が限られている」と嘆いた。
 グッドヒュー氏は競争力の喪失に加え、トランプ政権による通商政策の予測不可能性を厳しく批判した。「毎日、毎週のように異なる関税案が飛び出してくる。こんな状況でどうやってビジネスの計画が立てられるのか」と疑問を呈し、生産や投資のサイクル管理に支障が出ていると訴えた。
 同氏によれば、影響はアイオワ州全体に広がっており、農業収入の減少は地域経済に波及している。協同組合の投資削減、商業活動の停滞、農業関連産業での失業増加が顕在化しており、「これらの関税は我々のコミュニティを殺している」と語った。
 トランプ氏が始めた貿易戦争は、米国の農業を強化するどころか、競合国、特にブラジルの穀物輸出拡大を後押しする結果となった。この変化は、将来的に関税政策が見直されたとしても、長期的な影響を及ぼすと専門家らは見ている。
 こうした中、ブラジル農務省のルイス・ルア通商・国際関係担当局長は22日、米中間の通商摩擦について、「ブラジルにとって有望なのは大豆に限らず、付加価値を持つ他製品を含め、特に農畜産品分野での輸出拡大が期待される」と述べた。(2)
 関税戦争のもたらす可能性について、ルア氏は、中国が輸入する鶏肉の約30%、豚肉の16〜18%、牛肉の8%が米国から供給されていると指摘した上で、「米国がこの市場から退出すれば、当然ながら、ブラジルが代替供給国として前面に出ることになる。他の競合国もあるが、ブラジルほどの供給能力を備えた国は多くない」と述べ、「最終的には、中国がブラジル産品にどれだけの需要を示すか次第だ」との見解を示した。
 ルア氏はさらに、「現下の国際情勢において、ブラジルのように品質、競争力、持続可能性、衛生面すべてにおいて優れた製品を安定供給できる国は限られている」と語り、ブラジルがすべての動物性製品について国際的な届出義務のある疾病が発生していないという衛生上の優位性を強調した。
 加えて同氏は、「二大超大国の対立が続く中で、我々には平和的な外交を推進する役割がある。それが我々の基本姿勢である。米国、中国、その他の国々とも引き続き対話を継続する。ブラジルはすべての国と対話を続けており、戦略に変更はない」と述べ、米国がブラジル産品に課した追加関税の影響については「現時点でその影響を見極めるのは時期尚早だ」との見解を示した。


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