恩赦法代替案=アルコルンブレ議長が提案=クーデター計画者らは不利に=最高裁もすでにゴーサイン

連邦議会と最高裁の間で、2023年1月8日の三権中枢施設襲撃事件に関して、主要とは言えない襲撃者の刑を軽減する代わり、クーデターの計画立案などに携わったリーダー格と目される人たちの罪を重くする法案を作る交渉がまとまりつつあると、4月28日付フォーリャ紙(1)が報じている。
この法案はダヴィ・アルコルンブレ上院議長(ウニオン)とウゴ・モッタ下院議長(共和者・RP)が最高裁の意向を汲みながら調整して来たもので、アルコルンブレ議長が5月に上院に提出する予定と複数メディアが報じている。
この法案では、当局に煽られてクーデターを企て、襲撃事件のような暴力的なデモに参加して、破壊行為を行った人たちに対する刑期は、自宅軟禁か昼間外出付勾留(セミ・アベルト)が認められるような、短いものにするとしている。
ただし、襲撃事件での資金提供者や、クーデター計画を立案したような主犯格の人たちには逆に刑を重くすることを、新法案は視野に入れている。
この点で、この法案は自由党(PL)がモッタ下院議長に対して緊急議案とするよう迫った恩赦法案と大きく異なる。PLの恩赦法は襲撃事件の参加者のみならず、「大統領選後のすべての抗議行動に関わった人」までを対象としており、PL所属のボルソナロ前大統領に対する恩赦が目的ではとの見方もあるほどだ。
アルコルンブレ議長がフォーリャ紙に語ったところによると、現行法では民主的な制度や選挙プロセスに対する反逆行為を行う人への懲罰は4~12年の実刑とされている。だが、現行法ではクーデター未遂も実際にクーデターを起こした場合と同じ扱いになる上、三権広場の正義の像に口紅で落書きしたデボラ・ロドリゲス・ドス・サントス氏のような人と、大統領選の結果を変える条令の草案(ミヌタ)作成などに携わったとして起訴されている元法相のアンデルソン・トレス氏のような人との違いが曖昧だといい、「違いをはっきりと分類するような法案の作成が重要だ」と語っている。(2)
また、民主的な法治国家の暴力的廃止やクーデターといった犯罪を個別に扱って、刑期を加算する方法を廃止し、一方は他方に先行しているものとして扱い、刑期を延ばす方法をとる予定だ。
アルコルンブレ議長がこれらの点をアピールするのは、最高裁との関係を悪化させないためだ。最高裁では複数の判事たちがPLが進めようとしている法案は「違憲」と判断しており、審議の差止などを示唆していた。
アルコルンブレ上院議長の提案の内容は最高裁にもすでに伝わっており、1月8日事件の審理で報告官を務めているアレッシャンドレ・デ・モラエス判事がすでにゴーサインを出している上、ルイス・ロベルト・バローゾ長官も賛成しているという。
連邦議会と最高裁の動きに対し、ボルソナロ派はすでに反発を示している。代表格のシラス・マラファイア牧師は、入院中のボルソナロ氏に代わり、5月7日にブラジリアで再度の恩赦法擁護デモを行うことを計画しているという。
マラファイア氏は「クーデターは最高裁がでっち上げた茶番だ」とこれまで通りの持論を展開し、モラエス判事を「独裁者」と呼んで批判している。(3)