ブラジル マンダカルー物語=黒木千阿子=(18)
小鳥たちは、それぞれのねぐらの木に鈴なりになって、ペチャクチャおしゃべりしながら餌を求めて飛び立つ寸前。と、突然緑の中から姿を現す牛や馬。彼等はやがて黙々と草を食べ始めます。すると、今度は山から一直線に降りて来る鳥。待ってましたとてぐすねを引いていた鷹です。
鷹は牧場のあたり一体の主ように周りを睥睨して飛びますが、俺はあの禿鷹とは違うのだと威厳を示した飛び方をしています。
簡単に言うと、とても気取った舞を見せながら、時々頭をさげては、俺の頭は禿げていないぞと言っているようなのです。でも、たっぷりと優越感に浸っている鷹に対して、皆から嫌われて馬鹿にされている禿鷹はあまりにもかわいそう・・・・。
だって、動物たちの死骸をきれいにしてくれる禿鷹たちがいなかったら、このマンダカルーは決して、住み心地が良いところだとは言えないからです。
それはそれとして、空高く舞っている鷹は何時までも、空中にいられるわけでなく、どこかに着陸しなければなりません。
彼は、大きく旋回すると、一番お気に入りのマンダカルーのてっぺんに止まって、お気に入りのポーズをとって一休み。
おや?マンダカルーって地名じゃないの?と、皆さんはお思いでしょうが、そうではないのです。
鷹のお話はおしまいにして、マンダカルーのことを説明しましょう。
マンダカルーとは、柱のようなサボテンのことなのです。
この土地がマンダカルーと呼ばれるようになったのは、そう呼ぶより他に仕様がないほどニョキニョキと林のように立ち並ぶ、まさにマンダカルーの摩天楼だからなのです。