トランプがマドゥロと電話会談=米国は亡命の選択肢を示唆
【既報関連】トランプ米大統領は11月30日、ベネズエラのマドゥロ大統領と電話会談を行ったことを正式に認めた。同会談は、麻薬組織の指導者として米国当局から指名手配中のマドゥロ氏に対する米国の圧力が増す中で行われたもので、両国間の緊張は、米軍艦や戦闘機の展開を伴い、実際の軍事行動の可能性も含めた新たな段階に入ったと同日付ヴァロール紙など(1)(2)が報じた。
トランプ氏は会談について「コメントは控えたい」とし、具体的内容は明らかにしていない。米ニューヨーク・タイムズ紙によれば、会談にはマルコ・ルビオ米国務長官も同席。両首脳は米国での面会の可能性について議論したものの、具体的な会談は予定されていない。トランプ氏は、「良くも悪くもない。ただの電話会談だった」と述べ、攻撃が迫っていると考えるべきではないと付け加えた。会談ではロシア亡命の申し出も話題に上ったとされるが、公式な確認はない。
米国務省はマドゥロ氏が関与しているとされる麻薬組織「カルテル・デ・ロス・ソレス」を外国テロ組織に指定しており、トランプ氏はこれによりマドゥロ派勢力への攻撃が法的に可能になると説明。米国は8月以降、カリブ海で麻薬取締作戦を展開し、艦船、戦闘機、数千人の兵士、世界最大の航空母艦を動員。作戦中に20隻以上の船舶が攻撃され、少なくとも83人が死亡した。ベネズエラ政府は、これらの作戦は麻薬取締ではなく政権打倒を狙うものだと非難している。
11月30日、マドゥロ氏は米国の攻撃を阻止するため、石油輸出国機構(OPEC)に支援を求める書簡を公表。OPEC閣僚委員会のオンライン会合でデルシー・ロドリゲス副大統領が読み上げた同書簡には、「OPECの最大限の努力に期待する。攻撃はますます強まり、国際エネルギー市場の均衡に深刻な脅威を与えている」と記され、米国が自らを権力の座から排除し、ベネズエラの石油備蓄を掌握しようとしていると主張。軍事行動が「ベネズエラの石油生産の安定性および世界市場に深刻な危険をもたらす」と警告した。
先週、米国連邦航空局(FAA)が航空安全警報を発令し、航空会社6社がベネズエラへの往復便を停止。11月29日にもトランプ氏がベネズエラ空域を「完全に閉鎖すべきだ」と警告し、ロシアの旅行代理店ペガス・ツーリスティックが、カリブ海沿岸沖のベネズエラ領島群ヌエバ・エスパルタへの定期便を停止。21年以降、ベネズエラとロシアは観光協定を締結しており、同島群には数千人のロシア人観光客が訪れていた。両国間で現在運行されている定期便は、ベネズエラの国営航空会社コンビアサによる2便のみ。
ベネズエラ民間航空局(INAC)はイベリア航空、TAP航空、アビアンカ航空、ラタン航空、ゴル航空、ターキッシュ・エアラインズの6社の国内運航ライセンスを取り消した。マドゥロ政権は、これら航空会社が「米政府による国家テロ行為に加担した」と非難している。
共和党のマークウェイン・マリン上議はCNNに対し、米国はマドゥロ氏にロシアや中国、イラン、キューバなどの同盟国への避難の機会を提供したと語り、「ベネズエラ国民自身が新しい指導者を求める意思を表明している」とした。米国はベネズエラを攻撃する計画はないとし、「我々は自国の沿岸を守ろうとしている」と強調した。
ベネズエラ国民議会のホルヘ・ロドリゲス議長は、米政府によるベネズエラ沿岸や太平洋上の船舶への致命的攻撃を調査する特別委員会を設置すると発表。11月28日付ワシントン・ポスト紙によれば、ピート・ヘグセス米国防長官は9月の攻撃で乗船者全員の殺害を命じ、続く第2次攻撃で生存者2人も殺害したと報じられており、同議長はこの報道内容を分析するとしている。
経済専門家イーゴル・ルセナ氏は、仮に米国が実際に軍事行動を起こせば、南米各国の金融市場や為替、原油価格に即時の影響が及び、ブラジルを含む地域の安全保障にも波及すると指摘。ブラジル政府は公式には中立を維持しつつ、米国との貿易や経済関係を重視しており、米国の圧力行使に直接対抗する立場にはないと分析した。ルセナ氏は、マドゥロ氏の亡命の可能性も含め、米国とベネズエラ間の緊張は憶測ではなく、具体的な危機として認識されるべき状況にあると述べた。(3)

