チリ南部2州で森林火災猛威=死者19人、非常事態宣言
チリ南部で17日に発生した大規模な森林火災により、少なくとも19人が死亡し、約2万人が避難を余儀なくされている。19日付のブラジル紙オ・グローボなど(1)(2)(3)(4)によると、チリ政府は18日、甚大な被害を受けているニュブレ州とビオビオ州に非常事態を宣言し、消火活動と被災者支援のため国家的な緊急対応体制を発動した。
チリ国家森林公社(CONAF)によれば、18日午前時点で国内では24件の森林火災が確認されており、被害が最も深刻なのは首都サンティアゴから約500キロ南に位置するニュブレ州とビオビオ州だ。
これまでに8500ヘクタール以上が焼失し、ビオビオ州のペンコ市やリルケン市では火の勢いが急速に強まり、住民が避難する時間もほとんどなかったとされる。死者数は今後さらに増える可能性があり、警戒が続いている。
避難指示の拡大に伴い、各地の避難所は過密状態となり、食料や医療を含む人道支援が急務となっている。政府は消防隊や国軍、地方自治体と連携し、被災地への物資輸送を進めているが、道路寸断などにより、支援が行き届かない地域も出ている。
ボリッチ大統領は19日、火災の状況について「一部では改善が見られる」としながらも、再燃の危険性は依然として高いと警告した。今後、気温が30度前後まで上昇する見通しで、強風の影響により火勢が再び強まる恐れがあるという。
今回の火災拡大の背景には、アンデス山脈から吹き下ろす乾燥した強風「プエルチェ風」の影響がある。この風は湿度を著しく低下させ、気温を上昇させるため、火災の急速な拡大を招き、消火活動を困難にしている。専門家は、予想を上回る人員と時間が必要になっていると指摘する。
政界からも支援の動きが広がっている。次期大統領に選出されたホセ・アントニオ・カスト氏は、「最優先事項は政治的立場を超えて火災を鎮圧し、被災者を支援することだ」と述べ、超党派での協力を呼びかけた。3月の就任を控える中、今回の対応では政治対立を持ち込まない姿勢を示している。
チリでは近年、森林火災の規模と頻度が増加している。特に2010年以降、毎年のように大規模火災が発生し、2024年には中部バルパライソ地域で138人が死亡する甚大な被害が出た。政府は防災体制の強化を進めてきたが、気象条件の厳しさが対応の限界を露呈している。
ビオビオ州のセルヒオ・ヒアカマン知事は、今回の被害について「2010年の大地震に匹敵する規模だ」と述べ、住民支援の一層の強化を訴えた。チリ政府は、消火資材の追加投入と避難民支援を急ぐとともに、長期的には森林管理や防火体制の見直し、気候変動への適応策を含めた防災強化が不可欠だとしている。









