小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=82
山路は憤慨して、その場を去った。彼は次々と配られてくる戦勝ニュースを信じていた。同胞が抱いていた落胆や不安を覆す快い文面で、読んだ者は歓びに小躍りし、故もなく戦勝組になっていた。勝ち戦を信じただけで心の満足が得られたし、それ自体、誰に迷惑をかけることでもない。ここ二ヵ月の間に戦勝を信ずる者の数は膨れ上がった。この事実に同調しない奴はどうかしている。カラムルー植民地の連中は腰抜けばかりだ。こんな所でぼやぼやしていたのでは自分の大義名分は発揮できない。そう考えた山路は植民地を捨てて町へでた。戦勝組の集まる木賃宿の松原食堂に逗留した。
山路はそこで、勝組によって組織...
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