銀行業務集中サービス会社(Serasa Experian)によると、高齢者の債務不履行は若い人や国民全体の平均を上回る勢いで増えていると27日付エスタード紙など(1)(2)が報じた。
それによると、4月の全国の債務不履行は2019年4月より12・9%増えたが、高齢者では34・7%増えた。他の年齢層の増加率は41~60歳15・9%、26~40歳4・6%、25歳以下2・3%だった。
ただし、債務不履行者の数を見ると、全体が7140万人だったのに対して、60歳以上は17・9%の1280万人だった。それでも、4年間で330万人増えている。
Serasa主任エコノミストのルイス・ラビ氏によると、高齢者の債務不履行急増の要因はインフレと高金利以外に二つある。一つは高齢者の増加で、他方はローンの返済が年金や給与から差し引かれる天引き融資(crédito consignado)への誘いが過熱していることだ。年金支給が開始した途端、なぜか勧誘の電話が頻繁に入るようになり、高齢者ゆえに仕組みもよく分からないまま融資を承認する傾向がある。
2015~16年の景気後退やパンデミックのような危機発生時は、安定収入がある高齢者が収入を失った若い家族や親戚の家計を助けることが多い。だが、天引き融資が容易に使えるようになったことと家族の経済状態悪化で高齢者自身や高齢者の名前を使った借金が増えた。
手元に残る現金が減れば、従来は払えていた水道代なども払えなくなる。高齢者が4月に払い残した項目は、水道や電気、ガスの基本料金39・7%、銀行とカード26・7%、金融・リース9・2%、小売8・2%、通信6・6%だった。
ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)によると、第三世代のインフレ率(IPC―3i)は3月までの12カ月間で4・06%上昇したが、薬や個人介護などの医療費は9・21%上昇。薬代などをカードで払う内、クレジットカードで8千レアル、店のカードで3千レアルの借金ができ、5~6月に前倒しされる年金の13カ月給を待っている人もいる。
Serasaでは60歳以上の人の借金1500万件以上の返済支援キャンペーン(Serasa Limpa Nome)を実施中だ。割引率は最大99%で、キャンペーン参加企業は500社を超える。18~23日実施の調査によると、13カ月給を借金返済に充てる高齢者は4割。健康管理に使うは24%だった。