《ブラジル》人気ニュースキャスターのダテナに翻弄される大統領派=サンパウロ州上議選で圧倒的人気誇る=出る、出ない? 誰と組む?

サンパウロ州上議選で抜群の人気を誇りながら、出馬に関してあやふやな言動を繰り返すニュースキャスターのダテナ氏が、ボルソナロ大統領が推すサンパウロ州知事候補のタルシジオ・デ・フレイタス氏(共和者・PR)の計画を狂わせる可能性が強まっていると、5〜7日付現地紙、サイトが報じている。
バンデイランテス局のニュース番組「ブラジル・ウルジェンテ」の看板キャスターのダテナ氏には長年政界進出の噂があり、それがついに実現しそうだ。同氏出馬の可能性が高いサンパウロ州上議選(当選枠1人)の世論調査での支持率は22%で、大統領選への出馬も有力視されていたセルジオ・モロ氏(ウニオン)や元サンパウロ州知事のマルシオ・フランサ氏(ブラジル社会党・PSB)を抑え、支持率でトップ状態にある。
ボルソナロ大統領は5月、ダテナ氏を「サンパウロ州知事選でタルシジオとシャッパ(連立名簿)を組む」相手と宣言しており、自身の大統領選も兼ねたサンパウロでの得票数向上の切り札にしたがっている。
だが、ダテナ氏は今回の選挙に際し、大統領所属の自由党(PL)に入党せず、キリスト教社会党(PSC)に入っている。PLはタルシジオ氏の副候補を出す形でシャッパに絡んでいるが、ダテナ氏は党首のヴァルデマール氏がメンサロン事件で有罪となり、服役したイメージを嫌い、タルシジオ氏とのシャッパに二の足を踏んでいる。
ヴァルデマール氏は5月にダテナ氏とのシャッパを受け入れると発言したが、その直前にダテナ氏からメンサロンの件で批判されている。
こうしたことからダテナ氏に対する大統領支持者の受けは良くなく、ネット上でも批判が目立っている。自身も上議選出馬が噂されたジャナイーナ・パスコアル・サンパウロ州議(労働刷新党・PRTB)も、「ルーラ氏が大統領に当選すれば、ダテナ氏はすぐ鞍替えする。実際、過去にはルーラ氏に投票している」と批判し、話題となった。
こうした状況から、ダテナ氏は4日、自身の番組のフェイスブックに動画をあげ、そこで「私が出馬をすれば当選するかもしれないが、反対勢力が収まることはないだろう」「私は視聴者を代表する立場が良いのかもしれない」と発言。これは「出馬断念か」と解釈されて騒ぎとなり、ダテナ氏自身が慌てて「出馬はする」と釈明する事態にもなった。
ただ、この一件でタルシジオ陣営がダテナ氏とのシャッパを疑問視し始め、サンパウロ州工業連盟(Fiesp)前会長のパウロ・スカッフィ氏に切り替える可能性が出てきた。同氏は18年のサンパウロ州知事選3位で、今はPL所属だ。サンパウロ州上議選の世論調査でも10%の支持を得ているが、ダテナ氏やモロ氏よりかなり低く、苦戦が予想される。強力な上議の存在はサンパウロ州知事選世論調査1位のフェルナンド・ハダジ氏を追うタルシジオ氏に不可欠だ。
PLでは、過去の選挙で記録的な得票数を誇ってきたお笑い出身のチリリッカ下議が、愛用してきた登録番号を大統領三男のエドゥアルド氏に奪われ、不出馬を宣言。タレント候補にも悩まされている。