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ブラジル日系社会=『百年の水流』(再改定版)=外山脩=(352)

2026年3月4日


 この頃、ゼルヴァジオは、心労の極にあった。難聴がひどくなり、体力も衰えていた。超ハイパー・インフレは収まる気配はない。銀行への負債は、毎日恐るべき勢いで膨張中である。組合員に対する焦げつき債権の回収は進まない。地方では、アチコチで組合員が組合を訴えている。いずれも対策は立たない。不名誉な退任をしなければならない。その上、また「ケイロウ立候補」という新しい頭痛の種が生まれた。

 ある日、ゼルヴァジオは組合の用事で、コンゴニャス空港で小型機を借りて、地方へ飛んだことがある。出発を待つ間、こう呟いた。

 「飛行機が墜ちればよい。総てが終わる……」

 総てが…というのは、自分の...

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