連載小説=自分史「たんぽぽ」=黒木 慧=第8話
金子りんはそこに目をつけ、京染店を開いたのである。仕事は順調に伸びて、生活にもゆとりが出来て、彼女の生まれ故郷の日向の親戚の子女を熊本に呼んで面倒をみる様になった。今、その頃を振り返ってみると、私の親戚関係で、彼女に何かの形でお世話にならなかった者はいない程、彼女は私たちの親戚のために頑張ってくれた。そのうちの一人、私のいとこで、日向の永江生まれの市松という男が熊本の泗水で豆腐作りをやっていた。その市松夫婦が日向に所用でやって来て、熊本に帰るのに私も一緒に初めての一人での汽車の旅で熊本に行くことになった。何の目的で行ったのか、単なる旅行だけではない。多分、食糧探し...
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