《ブラジル》ボルソナロ夫妻が３０年前の有名殺害犯と会食？！＝検証報道で事実誤認と判明

　ボルソナロ大統領夫妻が７日、３０年前に人気脚本家グロリア・ペレスの長女殺害で当時の報道を賑わせた男性と会食をしたことが発覚し物議を醸し始めていたが、その後の検証報道で事実誤認であったことが明らかになった。１１、１２日付現地サイトが報じている。
　大統領夫妻が７日にミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテのバチスタ・ダ・ラゴイーニャ教会を訪れたことは同日中に報じられていたが、９日にギリェルメ・デ・パドゥア氏がその教会に所属していることが報じられ、問題にされ始めた。
　それは、パドゥア氏は１９９２年１２月２８日に起こった、脚本家グロリア・ペレスの長女で女優だったダニエラ氏（当時２２）殺害事件の犯人だったからだ。
　ダニエラ氏とパドゥア氏は事件当時、グロリアの手がけるグローボ局のドラマ「デ・コルポ・エ・アルマ」に共演していた。だが、自分の出演時間が少ないことを不満に思ったパドゥア氏が、ダニエラ氏経由でグロリアに出番を増やすよう求めたがかなわなかったため、ダニエラ氏を逆恨み。当時の妻と共謀してダニエラ氏を１８カ所刺して殺害した。
　パドゥア氏はこの事件で実刑に服したが、精神異常の判断などから刑期が軽くなり、１９９９年には出所。宣教師となっていた。一般に、懲役を終えた人は普通の人と同じ人権を取り戻しているので、出所した後も犯罪者扱いすることは差別行為に当たる。
　だが、この事件の裁判の不当性などはかねてから指摘され、今年７月にこの事件に関するドキュメンタリー番組がテレビで放映され、話題が再燃している矢先だったために、道義的な波紋が広がっている。
　ところが１２日、ボルソナロ夫妻が教会に行っただけでなく、パドゥア夫妻と共に会食を行ったことが発覚。ミシェレ大統領夫人がパドゥア氏の夫人と共に写った写真も拡散されたことで、騒ぎがさらに大きなものとなっている。
　ミシェレ夫人は１１日、グロリアがインスタグラムでダニエラ氏についての投稿を行った際、泣き顔とハートの絵文字を書き込み、連帯を示したばかりだった。
　これに関して１２日付メトロポレ紙（https://www.metropoles.com/colunas/leo-dias/bolsonaro-nao-almocou-com-de-padua-e-michelle-desconhece-a-esposa）などが検証記事を出した。
　これによれば、当日、大統領は別の政治日程があり、サンパウロにいたので、昼食会には参加していなかった。また、ミシェレ夫人が参加したのは５００人規模の昼食会で、バドゥア氏本人は参加しておらず、妻だけ出席していた。しかも、ミシェレ夫人は参加者の１００人以上と記念写真を撮っており、その一人がパドゥア氏の妻で、個人的な面識は一切なかったと報じられている。