2千億レを歳出上限枠外に=生活扶助600レ確保等で=移行PEC、両院で審議へ

ジェラルド・アルキミン次期副大統領が16日、次期政権では生活扶助を歳出上限の枠外で扱う事などを盛り込んだ憲法補則案「移行PEC」を連邦議会に提出したと16、17日付現地紙、サイトが報じた。
移行PECは、ルーラ氏が選挙期間中に約束した600レアルの生活扶助給付維持のために不可欠だ。現政権は生活扶助をアウシリオ・ブラジルと改称したが、次期政権は再びボルサ・ファミリアに戻す予定。現政権が立てた来年度予算では405レアル分しか計上されていない。
また、ルーラ氏は6歳までの子供1人につき150レアルを加算すると約束しており、そのための財源確保と共に歳出上限法を守るための方策が必要だ。
ルーラ氏は選挙期間中も、歳出上限法の変更や、飢餓対策を含む社会福祉政策の充実が必要と訴えていた。それを実現するため、今回のPECは、歳出上限法はいじらずに生活扶助の支給額維持と児童手当加算を可能にしようとして、生活扶助を歳出上限枠外とする事を盛り込んでいる。
2023年の場合、600レアルの生活扶助と150レアルの児童手当の支給に必要な金額は1750億レアルと見られている。また、予算外の歳入の4割、最大230億レアルを教育やインフラ投資に回す事が盛り込まれており、総額は約2千億レアルとなる。
同PECが承認されれば、アウシリオ・ブラジル用の予算1050億レアルは、大衆薬局(ファルマシア・ポプラル)の維持や最低賃金の実質増(インフレ率以上の調整)などに回す事ができる。
予算案の報告官のマルセロ・カストロ上議(民主運動・MDB)は移行PECを提案として扱い、議会内で交渉・協議後に審議する意向だ。支給額維持はボルソナロ氏の公約でもあり、大きな反対は避けられそうだが、歳出上限枠から外す期間などは意見が割れる可能性大だ。同PECは今月中に上院で承認後に下院に回され、12月15日までに成立の見込みだが、既に1600億レアルに減額される可能性が出ている。
他方、歳出上限枠を外せば財政バランスが崩れ、歳出が抑制できなくなる可能性がある。加えて立案時に経済担当作業班が参加していなかった事などへの懸念の声は、市場関係者や移行作業班からも出ている。17日は株式市場の平均株価指数下落やドル高も起きたが、ルーラ氏は「忍耐を」と語っている。