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ワクチン接種済み疑惑が浮上したボルソナロ

2023年3月3日

ボルソナロ氏(Tania Rego/Agencia Brasil)
ボルソナロ氏(Tania Rego/Agencia Brasil)

 大統領の座を離れて以来、在任中の秘密を暴露され続けているジャイール・ボルソナロ氏。これまでコーポレート・カードで多額の金を使い込んでいたなどの報道が行われ、社会的な波紋を呼んできたが、コラム子にとってはそれほど大きな驚きのあるものではなかった。しかし、コラム子でも「これは問題だ」と思ったものがある。それは「ボルソナロ氏が実はコロナワクチンを接種していた」というものだ。
 この情報は2月17日、国庫庁(CGU)のヴィニシウス・デ・カルヴァーリョ長官が「ボルソナロ氏の接種の登録をすでに発見している」とCNNブラジルに語ったことによって明らかになった。ボルソナロ氏は2021年7月19日にスイスのヤンセン社製のワクチンを1回受けているという。
 米国滞在中のボルソナロ氏はこの報道を否定し、自身はまだコロナワクチンの接種を行っていないと主張している。
 真相に関しては、カルヴァーリョ長官が証拠を提示しない限り、判断することは出来ない。だが、これが仮に真実であるとしたら、大きな問題だ。
 「ボルソナロ氏も打たないから、自分もワクチンを打たない」。そう言ってワクチン接種をせず、コロナで命を落とした人が果たしてどれだけ存在したか。想像するだにいたたまれない気持ちになる。
 ボルソナロ氏はパンデミックの始まった2020年、社会的隔離政策の実施に反対し、クロロキンの治療薬化に奔走していた。そうした経緯から自身がワクチン接種を行う事に対して気が咎めていたのかもしれない。だが、そこでもし勇気を振り絞ってワクチン接種を肯定していれば、その後に何人の命が救われていたか。
 コラム子は以前、「ボルソナロ氏は支持者たちの願望に答えるべく、無理をして虚像を作り上げていたのではないか」と書いた。ボルソナロ氏は20数年前、4男のジャイール・レナン氏が生まれて間もない頃、雑誌のインタビューで「中絶はぎりぎりまで考えた」と中絶行為自体の存在を認める発言を行っている。しかし、今ではあたかもそんな過去がなかったかのように中絶反対者として振舞っている。
 今回のワクチン接種疑惑も熱心なボルソナロ氏の支持者ならば意地でも信じたくないものだろう。支持者たちの想像に縛られ、正直な人生を歩めなくなっていると思えてならない。(陽)


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