大統領がオゾン療法を裁可=医療団体などはリスクを懸念

ルーラ大統領(労働者党・PT)は7日、オゾン療法を補完的療法として認可する法律を裁可し、同日付連邦官報に掲載した。オゾン療法は他の治療法と組み合わせる必要があるが、一部の医療団体や専門家は同療法にはリスクがあるとし、この決定を批判している。同日付BBCなど(1)(2)(3)が報じている。
オゾンは殺菌作用がある有毒かつ腐食性のあるガスで、消毒液や浄水剤として使用される。オゾン療法はオゾンと酸素を混合した医療用ガスを治療に活用する技術で、19世紀にドイツで研究開発され、20世紀初頭に応用され始めた。
医療用ガスは皮膚などの患部に直接塗布するか、筋肉、関節、血管など体の特定部分に注入する。肛門から腸にガスを送り込む直腸オゾン療法に効果があるという意見もある。
連邦薬局審議会などは同療法の適用を支持しているが、様々な医療団体は治療目的でのオゾンの利用は科学的根拠が不足していると主張している。
国立医学アカデミーは7月に大統領に公開書簡を送り、効果を裏付ける研究結果が存在せず、人体に有害で健康リスクをもたらすと訴えて、法律裁可を拒否するよう要請していた。ブラジル医師会も科学的証拠の不足を理由に、反対の立場を取り続けてきた。
連邦医学審議会は18年の決議で、同療法はまだ実験段階にあるとして、科学研究にのみ許可していた。同審議会は法律が裁可された直後に、科学的根拠のない治療法を認めない旨を再強調、8日も「特定の作業部会を招集し、オゾン療法の有効性と安全性に関するデータを分析し、社会への情報提供を行う」と述べた。
治療用の医薬品や機器類は国家衛生監督庁(Anvisa)の承認が必要だが、有効性と安全性が未確認のため、現在は肌洗浄などのフェイシャルエステと虫歯などの歯科治療しか認めていない。
保健省も、医療機器はAnvisaの評価と認証を受ける必要があり、新しい治療法を統一医療保健システム(SUS)に導入する際は、科学的証拠や安全性、有効性などの基準を満たしているかを考慮するとしている。