女性殺人=貧困家庭の孤児支援=18歳まで1最賃支給

ルーラ大統領が10月31日、貧困家庭の母親が女性殺人の犠牲者となった場合、連邦政府が孤児達に支援金を払うことを定めた法令を裁可したと同日付アジェンシア・ブラジル(1)(2)が報じた。孤児達への支援金は最低賃金一つ分で、18歳になるまで支給される。 大統領は法令裁可の式典で、「21世紀の人間関係で起きる最も忌まわしい出来事の一つは、女性が自宅で夫や恋人、元夫や元恋人による優先的な犠牲者となることだ」「なぜ男性はこれほどまでに卑劣で、パートナーを攻撃するほどの悪党になるのだろう。説明できない」と語り、家庭内暴力の犠牲者を減らすための罰則や保護対策などを定めたマリア・ダ・ペーニャ法発効から15年以上経つのに、女性への暴行が後を絶たないことを嘆いた。式典には閣僚やジャンジャ夫人も出席していた。
2022年は、女性であるが故に殺された女性殺人の犠牲者が前年を6・1%上回る1437人となった。加害者の96%は伴侶や元伴侶、親戚で、犠牲者の大半は貧困家庭の黒人女性。犯行現場は自宅が多い。
シーダ・ゴンサルヴェス女性相によると、ブラジルでは1日平均で6人の子供や青少年が女性殺人のために孤児となっているという。同相は、女性殺人は回避可能な犯罪であり、国や社会が一丸となり、法整備を含む犯罪防止策を講じる必要があると説いた。
また、同日裁可された法令は女性殺人という形で表面化した女性に対する暴力が家族の生活に及ぼす影響の大きさを理解した結果生まれたものであることに触れ、「女性は家族を支えるための柱となる人物で、家庭の維持や生活に対する責任を負っていることだけでなく、その女性が殺されたために人生計画が中断された人達が受ける永続的な影響も考慮するべきだ」と述べた。
法令立案者のマリア・ド・ロザリオ下議(労働者党)は、支援金の給付によって、孤児達が叔父、叔母、祖父母といった親戚の手から引き離され、施設に送られるのを避けることができるだろうと述べた。
法令では、一人あたりの世帯所得が最低賃金の25%までの家庭の孤児は、法令が裁可される前に起きた女性殺人の場合でも対象となることや、結審前から支給を始めること、女性殺人ではないとの判決が出たら支給を差し止めるが、不正受給を試みた証拠がない限り、支給された金額を返却する義務はないことなどを定めている。
また、女性殺人の加害者や共犯者が子供の名前で支援金を受給したり、管理したりすることや、その他の社会福祉上の恩典を受けている人が重複受給することは禁じられている。