旅行ガイド大手がリベルダーデを「世界25の旅先」に選出 文化・食・歴史融合で独特の存在感
サンパウロの東洋街が「世界25の旅先」に選出される
ブラジル・サンパウロ市中心部に位置する「リベルダーデ」地区が、旅行ガイド大手「ロンリープラネット」が毎年発表する権威ある国際ランキングで、2026年の世界トップ25旅行先に選ばれ、注目を集めている。
同地区は、ブラジルを代表する唯一のエリアとしてリスト入りを果たし、「文化と料理の最高の交差点(the best crossing between culture and gastronomy)」とも評された。
日本人移民発祥の地、100年超の歴史
リベルダーデ地区は、1908年の第1回移民船・笠戸丸以後すぐに日本移民が住み始め、以降ブラジル国内最大の日本人コミュニティが形成された地域だ。伝統的な和食店、提灯や鳥居モチーフの街並み、日系人コミュニティが築いた文化的背景が、「日本とブラジルの融合」を象徴する場所として国内外で評価されてきた。
今回の選出では、こうした歴史的背景に加え、区内で展開されるフードマーケットやストリートフェア、移民史料館の存在も言及されており、単なる観光地ではなく “体験型の文化拠点” としての位置づけを強めている。
地域経済と観光活性化への期待
観光業関係者によれば、今回のランクインによって外国人旅行者のみならず、国内の旅行者誘致にも弾みがつく見通しだ。サンパウロ市観光・旅行局のロベルト・デ・ルセナ局長は、「この地区はサンパウロ市だけでなく、ブラジルと日本両国にとっての文化遺産だ。今回の評価はその価値を世界が再認識した証である」とコメントしている。
一方で、観光名所化に伴う混雑や、歴史・文化的意義の保持という観点での課題も指摘されており、今後は地域住民・事業者・行政が連携し、持続可能な観光モデルを模索することが求められている。
文化の交差点としての新たなステージ
今回の“世界トップ25”選出は、リベルダーデ地区がこれまで日本移民文化の「ひとつの象徴地」から、黒人奴隷が多く眠る墓地やその礼拝堂遺産が地区内にあったり、中国系移民や韓国系移民が激増している地区でもあり、グローバルな旅行トレンドにおける「文化的体験の拠点」へと成長したことを示す転換点とも言える。
旅行者は和食ラーメンや屋台料理を楽しむだけでなく、中華や韓国料理、フィリピンなど多国籍な料理や、地域の生成・変化を感じ取ることができる場として、この地区を注目している。
今後も、リベルダーデ地区がブラジル国内外に向けて発信する文化価値と観光価値の双方が、どのように展開されていくかが注目される。








