クーデター草案疑惑=「従っていたら実行」=陸空軍両司令官が証言=「やったら逮捕」と反論

【既報関連】2022年12月に開かれた、ボルソナロ前大統領が進めようとしていた疑惑がもたれている大統領選の結果を変えうるクーデター草案(ミヌタ)に関する会議についての、アントニオ・フレイレ・ゴメス陸軍司令官とカルロス・バチスタ・ジュニオル空軍司令官(共に当時)による証言内容が明らかになり、前大統領側と両司令官との間の緊迫した関係がうかがえるものとなっている。
バチスタ氏が2月16日、フレイレ・ゴメス氏が3月1日に連邦警察で事情聴取を受け、この会議について証言を行ったことはこれまでも報じられていたが、今回は、フォーリャ紙(1)(2)(3)(4)とヴェージャ誌(5)がそれぞれに証言内容を入手し、14日から15日にかけて報道を行っている。
今回明らかになったところによると、ミヌタに関する会議は、22年12月7日と14日の2回行われている。日時に関する両司令官の証言は、連警が押収した前大統領元側近マウロ・シジ容疑者の携帯電話に記録されているものと一致している。
それによると、第1回目の会議は大統領府で行われ、前大統領と3軍の司令官が集まり、大統領元側近のフィリペ・マルチンス氏が文書を読み上げたという。また、ボルソナロ氏はその後、「現在、検討中で、さらに発展させる見込みだ」と語ったという。
マルチンスは先月15日の連邦警察のテンプス・ヴェリタティス作戦で既に逮捕されている。
続く会議は1週間後の12月14日に国防相の執務室で行われたという。バチスタ氏によると、この会議の冒頭に当時のパウロ・セルジオ・ノゲイラ国防相からミヌタを渡されて、「改善点をあげてほしい」と言われたという。これは、昨年1月に元法相のアンデルソン・トレス容疑者の自宅から発見されたものによく似ていたという。
ルーラ氏の就任を阻止する内容を見たバチスタ氏が、「次期新大統領が就任しないことを規定しているのか」と質問すると、ノゲイラ氏は口をつぐんだという。バチスタ氏はこの時、軍がクーデターを認めるはずがなく、この文書の受領さえ認められないとノゲイラ氏に告げたが、会議後は「国家反逆者」などというレッテルを貼られ、SNSでの標的になったという。
また、フレイレ・ゴメス氏も、2回目の会議のミヌタには戒厳令の一つであるエスタード・デ・デフェーザを使っての選挙高裁廃止と新たな選挙委員会の創設への言及があったため、「賛同できない」として反対したという。
バチスタ氏はこの時の様子を、「前大統領が法と治安の保証(GLO)を行使することを示唆したため、フレイレ・ゴメス氏が『そうなれば、あなたを逮捕しなくてはならなくなる』と発言した。私も(クーデター反対という)自身の立場を明確にしたが、前大統領は驚いていた(怖がっていたともとれる表現)」と語っている。
また、バチスタ氏はアルミール・ガルニエル海軍司令官が「軍を大統領に一任したい」との意向を表明したとし、「軍がミヌタに従っていたならばクーデターが起きていた」ことを認めたという。
ガルニエル氏はこのバチスタ氏の発言に対し、「バチスタ氏とマウロ・シジ氏の証言内容を確認した上で発言したい」と答えている。
ボルソナロ氏はこれらの件に関する発言を行っていない。