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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=120

2024年4月10日

 女の子は温順に育つほうがよい。家庭より学校の時間が多くなると、自然と周囲の環境に支配されやすくなる。ラテン系の快活で人懐っこい人間の影響を受けたのか、言葉や動作が軽薄に見える。しかし、これが現代っ子気質であるらしく、友人間では受けがいいようだし、店の小僧やお手伝いとも仲がよい。どちらかと言えば、父親の方こそ、へそ曲がりと見られているらしいのだ。
 
(三)
 
 妻の四十九日の法要を済ませた安堵感によるのか、諸々の雑事から開放された気安さによるのか、私の身体から、何かが離脱したような茫然とした日々が続いた。そうしたある日、歌友の吉本純二がやってきた。
「...
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