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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=124

2024年4月16日

「パパイ、何を怖い顔してんの。朝っぱらから」
 私の顔色をうかがう目つきだ。(ソラきた!)
「明日はパパイの誕生日でしょ? だけどカズ、小遣い足りないからプレゼント買えない」
「そんな心配しなくてもいいよ」
 私はわざと突き放す。これで一つ撃退したことになるのだが、それは口実で、父親へのプレゼントなんて考えていないのだ。二つ三つ要求すると、そのうちの一つは適えてもらえる父親の弱い心理を狙っているのである。
「月末に、ロベルトの大学でバイレ(舞踏会)があるの。着て行く物が欲しいの」
「この前、誰かの誕生日に呼ばれた時に買ったのがあるだろう」
「あれ、ジャ...

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