ルーラ=新農地改革計画を発表=MST土地占拠再開の中

ルーラ大統領(労働者党・PT)は15日、大統領府で開かれた農地改革プログラム「テラ・ダ・ジェンチ(人民の土地)」の発表式典に参加した。これは、農村部における土地所有の不均衡を是正し、農地紛争を解決するために、土地取得のための新しい法的選択肢を提供することを目的としている。
新計画の中では、連邦政府の大口債務者の土地の所有権移転や、債務救済と引き換えに銀行、公営企業、州政府との農村部不動産の譲渡交渉により、新しく分配する土地を取得する選択肢がある。ルーラ大統領は「古い問題に取り組む新しい方法だ」と語り、このプログラムは土地占拠などの過激な方法をとらずとも農地改革を加速させられるとしている。
連邦政府の試算によると、2026年までに29万5千世帯が国家農地改革計画(PNRA)に組み込まれる予定で、その内の7万4千世帯は定住し、22万1千世帯は既存の定住区域に認定または正規化される。2024年は7万3千世帯の土地取得のために5億2千万レアルの予算が予定されていると、同日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。
また、2023〜26年までの間に目標を達成するための予算を割り当て、新しい入植地の創設や既存の入植地の拡大を行うことで、農地改革プログラムに含まれる世帯数を増加させる計画だ。
社会運動の代表者たちはこの取り組みが農地紛争解決の重要性を示すものであると強調している。だが、一方では持続可能な生産とインフラ整備へのニーズも提起されており、土地改革だけでなく、農村コミュニティの発展にも焦点が当てられている。
15日付インフォ・マネー(2)によると、このプログラムの開始は、土地なし農民運動(MST)が農地改革のためのデモや抗議活動を行う、いわゆる「赤い4月」の真っ只中に行われた。MSTはこの運動を通し、1996年4月にパラー州南部エルドラド・ドス・カラジャスで発生した大虐殺で殺害された農民らを追悼している。
14日、MSTはブラジル北東部ペルナンブコ州ペトロリーナにあるブラジル農牧調査研究公社(EMBRAPA)所有の農場の再占拠を発表。さらに、EMBRAPAに譲渡された国営企業コデバスフ社の施設と、破産したマラヴィーリャ製糖工場も占拠された。
これらのEMBRAPAの土地は昨年も2度侵入されており、ルーラ政権との摩擦に発展した。MSTの指導者らは、連邦政府がこの地域で野営している1300世帯以上の住民を定住させるという約束を果たしていないと主張している。
ルーラ大統領はスピーチで、「我々がやりたいことは民主主義体制下でのみ可能だ。要求を出し、ストライキを起こし、賃上げを求め、キャリア開発計画を求めて欲しい。我々の役割は社会運動に対して正直に向き合い、何ができて何ができないかを明らかにすること。あまり争わずして土地が利用できると人々に示すことだ」と過激なMST運動を牽制した。
「かつてのブラジルでは農地改革は行われておらず、多くの土地が世襲で相続された。今は、生産が必要な人々に適切な土地を分配している」とし、入植後は「人々が住み続けられるように、そこを生産的かつ魅力的な土地にすることが今後のより重要な仕事だ」と述べた。