「若者に歴史を繋ぎたい」=グァタパラ入植62周年祭=恒例の農産展や出店で賑わい

グァタパラ農事文化体育協会(高木ウィルソン会長)は6日、サンパウロ州グァタパラ市で入植62周年祭と収穫祭を行った。慰霊祭、農産展、演芸会も行われ、日系人のみならず地元の非日系のブラジル人など多くの人で賑わった。
午前10時、モンブカ墓地拓魂碑前で慰霊祭が行われ、ロドリゴ・セザール・シルヴィア大司教による祈りが捧げられた。
来賓として、在サンパウロ日本国総領事館清水享総領事、JICAブラジル事務所宮崎明博所長、ヴィセンテ・ルーカス・フィーリョグァタパラ市長、ブラジル日本文化福祉協会山下譲二文協評議員会長、ブラジル日本都道府県人会(県連)谷口ジョゼ会長、サンパウロ日伯援護協会(援協)島袋栄喜副会長、サンパウロ日本人学校植草貴久男(きくお)校長らが出席し、各々献花を行った。
1962年、全国拓植農業協同組合連合会(全拓連)の呼びかけにより、山形、茨城、長野、岡山、島根、山口、佐賀からの移住が同地に対して行われたことから、長野県人会、岡山県人会、山口県人会、島根県人会、山形県人会の関係者も出席した。

慰霊祭後、同移住地内中央公民館で第62回入植祭兼収穫祭が行われた。日伯両国歌並びにグァタパラ市歌を斉唱した。
挨拶に立った高木会長は、昨年から始めた月に1度開催の地元産農作物などを販売する「フェイラ・コロニア」の取り組みについて触れ、更に多くの人が来場するよう、同地に史料館の設立構想があることを明かし、「史料館を建設し、フェイラへの来場者数を増やしながら、未来の若者に歴史を繋ぎたい」と語った。
来賓挨拶に立った清水総領事は2004年、小泉純一郎元総理がブラジル訪問した際、ブラジリアの在ブラジル日本国大使館で参事官を務めていた。小泉氏はブラジル政府と農場視察にヘリコプターで向かう途上、グァタパラ移住地を通過する予定となっており、機上から献花を投げ渡すことになっていた。しかし、移住地関係者が小泉氏歓迎の意を地上文字などで表している様子に心を打たれ、急きょ視察予定を変更して、ヘリコプターを降りて移住地を訪問した。清水総領事は当時この逸話を聞き、「いつかグァタパラを訪問してみたいと思っていました」と述べ、「今日は夢が叶いました」と喜びを語った。また、慰霊祭に参加した際、高木会長の父であり、同地文協創設者の故高木治三郎氏が書いた碑文に感銘を受けたとして、碑文全文を読み上げた。

ヴィセンテ市長は「日本人移民を受け入れた当地の歴史を誇りに思います。皆で入植祭を楽しみましょう」と語った。
入植祭では、農産展やフード屋台の出店が行われ、2日間で約3000人以上が来場した。同祭名物の金魚すくいには老若男女が集まり、日本の祭り文化を楽しんだ。
お祭りの定番、出店の焼きそばを堪能した来場者のタイナーさん(25歳)は「入植祭は、この地域では毎年恒例のイベントとして楽しみにされています。私も毎年楽しく参加しています」と笑顔で語った。