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小説=「森の夢」=ブラジル日本移民の記録=醍醐麻沙夫=5

2024年7月12日

「とにかくサンパウロへ行こう」
 外交官のつもりで気取っている彼等の高慢の鼻をへし折る楽しみは後廻しにして、鈴木は五人をうながして外へでた。
 子供たちがゾロゾロ後をついて来た。
 彼等の荷物はサンパウロ移民収容所あてに送ってあるので、ほとんど手ぶらだった。
 コーヒーの積出し港としてサントスは栄えている。街角のバールで彼等はコーヒーを飲んだ。初めてではないが、まだ旨いとは思えなかった。こんなニガイもののどこがいいのか理解できない。しかし、このコーヒーのために五人はこうやっていま異郷の街を歩いているのだ。
「これが旨いのですかね、鈴木さん」
 仁平が訊ね...

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